小さなお店を始めるなら「まるっと居抜き」開業を賢く選ぶ

小さなお店を始めるなら「まるっと居抜き」開業を賢く選ぶ

新しくお店を開業しようと考えるとき、最初に直面するのが「どこで」「どんな形で」始めるかという立地と開業形態の問題です。特に、個人で小さなお店を運営したいと考えている人にとって、店舗選びや設備投資は大きな負担となります。そんな中、注目を集めているのが「まるっと居抜き」での開業です。

「まるっと居抜き」とは、すでに営業していた店舗をそのまま引き継ぎ、設備や内装を活かして新たに事業を始める方法を指します。従来の「一から店舗を作る」スタイルに比べ、コストや時間を大幅に抑えられるのが最大のメリットです。ここでは、この開業方法の魅力と注意点を見ていきましょう。

■まるっと居抜き開業の最大の利点は「スピードとコスト」

通常、ゼロから店舗を立ち上げる場合、物件探しから設計、内装工事、設備導入までに長い期間と多額の資金が必要です。しかし、まるっと居抜きでは既存の店舗を活用するため、初期投資を大幅に削減できます。特に、飲食店や美容室など設備投資が重い業種では、厨房機器や水回り、電気設備がそのまま使えるケースが多く、数百万円単位のコストカットが見込めます。

さらに、開業までのスピードも早く、工事期間を短縮できるため、契約から数週間でオープンできることもあります。これは、事業を早く軌道に乗せたい人にとって大きな魅力です。短期間で収益化が見込める点が、「まるっと居抜き」開業の最も実用的な強みといえます。

■成功の鍵は「立地とバランス」

どんなにお得に店舗を引き継げても、立地が悪ければ長続きはしません。立地は売上を左右する最重要要素であり、「安く借りられる=良い物件」とは限りません。繁華街や商店街、住宅街、ロードサイドなど、立地の特徴によって客層も売上構造も変わります。

例えば、繁華街なら回転率重視、住宅街ならリピーター型の安定経営が求められます。つまり、理想の店よりも「無理なく続けられる店」を目指すことが、長期的な成功の鍵となるのです。

■「理想」と「現実」をどう調和させるか

まるっと居抜き開業の失敗でよくあるのが、「理想のイメージ」にとらわれすぎてしまうことです。「この街が好きだから」「おしゃれな通りだから」という感覚で選んでしまうと、家賃や固定費の負担に圧迫されやすくなります。

ここで意識したいのが「損益分岐点」という考え方です。売上が固定費と変動費をちょうどまかなえる水準を明確にし、無理のない利益計画を立てること。理想よりも、まずは「続けられる現実」を優先する姿勢が大切です。いい立地とは“高い場所”ではなく、“バランスの取れた場所”なのです。

■まるっと居抜きに向いている業種と選び方のコツ

まるっと居抜き開業は、設備投資の多い業種ほどメリットが大きくなります。飲食業では厨房設備や排気ダクト、美容業では水回り・電気容量などの初期工事をそのまま活かせることが多く、時間も費用も節約できます。

一方、物販やサービス業のようにデザイン性やブランドイメージが重視される業種では、既存の内装がコンセプトに合わないケースもあります。その場合は「必要最小限の改装」で雰囲気を整える工夫をすることが、低コストで個性を出すポイントです。

■まとめ:「まるっと居抜き」は小さなお店の堅実な第一歩

まるっと居抜き開業は、コストを抑えつつスピーディに夢を実現できる方法です。限られた予算でも、工夫次第で理想に近い店舗をつくることができます。ただし、「低コストだから良い」ではなく、「自分に合った規模と立地」であることが前提です。

経営を長く続けるには、理想と現実のバランスを取る力が必要です。立地、業種、資金計画の3点を冷静に見極め、継続可能なビジネスモデルを築きましょう。まるっと居抜きを賢く活用すれば、小さなお店でも無理なくスタートでき、長期的に安定した経営を目指せます。

■次回予告:「一等地にこだわる必要はない」「立地を絞り込む方法」

次回は「立地選び」に焦点を当て、詳しく解説します。理想に惑わされず、成功しやすい場所を見極めるための実践的なポイントをお伝えします。

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