「閉店しかない」と思ったその前に。お店を“つなぐ”という選択肢

「閉店しかない」と思ったその前に。お店を“つなぐ”という選択肢

長年続けてきたお店。
常連さんとの会話、仕入先との関係、厨房に染みついた段取り。

それでも今、
「体力的にきつくなってきた」
「後継ぎがいない」
「このまま続けていいのか不安」

そんな気持ちを抱えながら、誰にも相談できずにいる方は少なくありません。

多くの方が思い浮かべるのは、
「閉店して、居抜きで返す」という選択です。

でも実は、その前に考えてほしい道があります。

■「居抜き=安く手放す」ではありません

居抜きというと、
「内装や厨房をそのまま残して出ていく」
というイメージが強いかもしれません。

たしかに、
単なる居抜き譲渡では

  • 譲渡金がほとんどつかない
  • 場合によっては原状回復費を請求される

そんなケースも珍しくありません。

ですが、
お店の価値は、内装や設備だけではありません。

たとえば――

  • 長年積み上げたレシピ
  • 地域に知られた店名
  • 常連さんとの関係
  • 仕入先やスタッフ
  • 営業のコツやSNSのアカウント

これらはすべて、
「次の人に引き継げる価値」になります。

■お店は「箱」ではなく「営み」

新しく飲食店を始めたお店が、
3年後も続いている確率は約30%と言われています。

なぜ、そんなに難しいのでしょうか。

理由のひとつは、
「最初の一歩」がとにかく大変だからです。

  • 認知がない
  • メニューも手探り
  • 仕入先もゼロから
  • 家賃だけが先に出ていく

焦りと不安の中でのスタートは、
心身ともに消耗します。

一方、長く続いてきたお店は、
すでに地域に認知されています。
味も、動線も、運営も、完成度が高い。

この「積み重ね」を次の人につなぐ。
それが、まるっと居抜きという考え方です。

■まるっと居抜きとは?

まるっと居抜きでは、
譲渡するものを売主が選べます。

たとえば

  • 店舗・内装・厨房設備だけ
  • そこにレシピや店名も含める
  • さらにスタッフやノウハウまで引き継ぐ

無理にすべて渡す必要はありません。

ただし、
店名やレシピを引き継ぐ場合には
「同じ名前で近くに新しく出店しない」
といった約束(※競業避止条項)が必要になることもあります。

※競業避止条項
→ 同じ商売で競争しないための取り決め。
 お互いを守るためのルールです。
「認知されるまでの時間」が短く、成功率が高まりやすいという利点もあります。

■「引き継いだだけ」では、うまくいかない理由

大切なのは、
引き継いだあと、どうスタートするか。

店名や内装だけ残っても、
突然オーナーが変われば
常連さんは戸惑います。

そのため、
一定期間、元オーナーと一緒に営業する
「引き継ぎ期間」を設けることがあります。

  • 味の再現
  • お客さんへの紹介
  • 細かなオペレーション

この期間があることで、
お店は自然に次の世代へと移っていきます。

■売主にとってのメリット

  • 単なる居抜きより高い譲渡金が期待できる
  • 退職後の生活資金をつくれる
  • 大切なお店を、誰かに託せる

「廃業=ゼロ」ではなく、
「次につなげる終わり方」が選べます。

■買主にとってのメリット

初期費用と時間を大幅に削減できる

すでに動いているお店から始められる

安定したスタートを切りやすい

修行を長くできない世代や、
効率を重視する人にも向いています。

■地域に愛された店を、未来へ

人口減少、高齢化、後継者不足。
人気店が静かに姿を消していくのは、
地域にとっても大きな損失です。

「閉めるしかない」と思う前に、
相談するという選択肢があることを、
知ってもらえたらと思います。

■まとめ【まるっと居抜き】

これは、
売るための話ではありません。
残すための話です。

長年続けてきたお店には、
数字では測れない価値があります。

もし、
「自分の店も対象になるのだろうか」
そんな疑問が浮かんだなら、
それが最初の一歩かもしれません。

無理に決断する必要はありません。
まずは、可能性を知ることからで大丈夫です。

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